2012年 02月 12日 日曜日

Appleは何をデザインしたのか!?

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BRUTUS Casa Appleは何をデザインしたのか

雑誌BRUTUS CasaにてApple特集が組まれていたので読んでみた。

本誌の半分以上のページを占めているこの特集の内容は中々に充実していて、『デザイン』という視点を軸に、ジョブズのこだわり続けたことや、デザインチームへのインタビュー、各界著名人への「なぜAppleを使うのか?」という質問など、読み応えのある一冊に仕上がっている。

Appleのファンなら周知の内容も多い。
けれど、『デザイン=装飾』として誤認している人達に対して、Appleが提示し続けている本当のデザインとは何か、それを生み出すための思考やプロセスの一端を垣間見るには良い特集だと思う。同時に、企業のトップがデザインというものを理解していることがどれだけ重要なことかも、改めて考えさせられる内容とも云えそうだ。

もし、日本の大手メーカーのトップを、デザインという視点で特集を組むとしたら、きっと1ページさえも構成することは難しいだろうと感じる。デザイン=今までと違う装飾や形状、新製品=新しい技術をただ詰め込んだもの、コミュニケーション=お金を巻き上げる仕組み…残念ながら、今の日本のメーカーからはそんな考え方しか感じられない。それでは本質的なことに純粋なやり方で臨んでいるAppleには太刀打ちできないのは必然だと思う。

最近よく思うのは、デザインにはbestは存在しないということ。
その時点でのbestはあっても、未来を含めて考えるとそうはならない。できることは、存在しないbestを夢見ながら、betterを求め続けることであって、今よりも『より良く』するにはどうすればよいのかを淡々と誠実に模索し続けることだけだろうと感じている。無論、そこに終わりはない。だから、興味も尽きない。

Appleは、それを体現できている世界中でも稀な企業のひとつだろう。

ジョブズは二度Appleを去っている。
一度目は、自身がAppleに招き入れたスカリーによって追い出され、二度目は、神によって連れ去られた。
どちらもAppleにとっては大きな損失となるが、両者の違いはおそらく、二度目にはジョブズの念いを受け継ぐスタッフが数多く残っているだろうことが、今後のAppleの基盤として機能していくに違いないと期待している。

その一人、デザイン部門のチーフであり、ジョブズの右腕でもあるジョナサン・アイヴが、この10数年で取り組んできた『Appleプロダクトのあり方』としての哲学の根本は、ほぼ確立していると見てよさそう。ハードウェアをどうソフトウェアと融合するか、ソフトウェアをどうハードウェアと融合するか、体験にどうユーザーを魅き込むか、ユーザーをどう体験に結びつけるか、コンピュータをどう非コンピュータ化するか…、そういったAppleプロダクトの存在意義の主軸となる観念が貫き通されるなら、きっとAppleはさらに飛躍できるだろうと思う。

Appleプロダクトは素晴らしいけれど、その素晴らしさを活かすも殺すも使い方次第なところがあるのも事実。例えば、代官山にできた蔦屋書店の2Fにあるカフェラウンジ『Anjin』のメニューにはiPadが採用されているが、これは一瞥して眉をひそめてしまうほど、本当に汚くて見にくくて扱いにくかった。操作方法が明快なハードウェアの中で、難解なソフトウェアが動いてしまっている。そういった細かな問題に対する解決方法も、きっとAppleなら提案できるだろう。
BRUTUS Casa Appleは何をデザインしたのか
Appleにできることはまだまだ多い。

この特集は、過去となってしまったAppleの集大成としてではなく、『Appleは何をデザインするのか!?』という期待を込めた未来へとつながる特集なのではないか、そう感じながら読み終えた。